日々アウトプット

アウトプットの習慣づけを目指す30代OLブログ

技術の進化と人間の進化

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amazon.co.jpより)

昨年のベストセラー、スマホ脳を再読。

人間の脳の報酬系に巧みに作用するように作られたスマホの依存性の高さ、SNSによる様々な精神的弊害、集中力低下などの問題など興味深い視点がたくさんありましたが、最も印象的だったのは、テクノロジーの進化と人間の進化のスピードの違いによる歪みがいろいろな面で支障をきたしているといういう点です。

人間の進化は長い長い時を経て、緩やかに行われていたのに対し、産業革命以降の生活様式というのは明らかに急激な変化です。情報革命においてはここ30年の出来事で、スマホが普及するようになってからは10年ちょっと。脳や体が追いつかないのも納得です。

以前こんな記事を読みました:2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

この進化(退化?)が良いか悪いかはさておき・・・今から80年経てば人間も現代の生活様式に適用するかもしれません。ですが、現時点では人間の身体はそのスピードに追いておらず、PCやスマホばかり使う生活に眼精疲労や肩こり、腰痛など色々な問題をかかえています。

身体への影響もさることながら、精神(脳)への影響は目に見えない分、もっと注意する必要があると感じました。人間に備わっている様々な感情(特にネガティブな感情)は、かつての人間が過酷な自然環境の中で生きるために培われた能力であり、現代とはずいぶん状況が違うこと(現代で即座に生きるか死ぬかという選択を迫られる機会は滅多にありません。)。感情もしっかりと人類の生存本能と結びついているのです。現代は心の病を抱える人が多いと言われていますが、このことを理解しているだけでも、自身の不安や怒り、ストレスといった感情に対しても多少は上手に向き合っていけるような気がします。

脳は柔軟な器官とはいえ、その能力に頼りすぎることや技術進歩と脳の乖離に無自覚であることの危険性を感じました。人間が作り出した技術に人間が振り回されていては本末転倒です。

 

技術の進化は食に関しても言えます。ここ70年ほどで食品技術も飛躍的に進化し、農薬、添加物や遺伝子組み換え食品など、現代人は人間の歴史から見ると今まで摂取したことのない食べ物を大量に取り込んでいます。もしかしたら、この70年で人間の浄化装置である腎臓は、化学物質の分解を早めるべく進化を遂げているのかもしれません。でも、たとえ進化していたとしても、進化スピードよりも摂取量のほうが圧倒的に多いのではないかなと感じています。食以外にも医療や化粧品に含まれる大量の化学物質を取り込み、大気汚染や水質汚染にさらされ、電子機器による電磁派を日常的に受けるなど、これまでになかった急激な環境の変化にどれほど人間は対応できているのでしょうか。

本書を読んでいて、私が最先端の技術を駆使した食品などの摂取を避ける理由の一端もここにあるなと思いました。

技術の進歩はとどまることがなく、今ではメタバースの時代も着々と始まりつつありますが、正直これによる脳への影響とか大丈夫なのだろうかと不安になります。

 

そうはいっても、過去これだけ安全で恵まれた時代に生きた人類はいないということも確かです。日々命の危険にさらされることなく、屋根がある快適な住居で暮らせるのは、ほかならぬ技術の進歩のおかげです。ミイラ取りがミイラにならなぬよう、技術進歩には感謝しつつも、それらを妄信したり依存しすぎないこと、健全な付き合い方を考えるきっかけとなる本でした。